和歌山県和歌山市美園町のメンタルクリニックおおや

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おおや通信
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自然治癒力5

例えば、抗うつ薬の作用としては以下のように考えられています。「抗うつ薬の継続的な服薬で脳内のセロトニン、ノルアドレナリン系の脱感作やダウンレギュレーションが生じる」と。脱感作やダウンレギュレーション自体は生体側の反応であり、服薬という外部からの働きかけはあるものの、その方の治癒力が発揮されたとも解釈できます。「自然」とは言い難いのですが、「生体には治癒力がある」と言ってもいいと思います。

自然治癒力4

患者さんからは「いつまで薬が必要なのか?」とよく訊かれます。この発言の前提には「薬で症状を抑えている。薬がないと症状がまた出るのでは?」との発想があると考えられます。確かにそのような患者さんもおられ、飲み続けないといけない方もおられます。しかし多くの方は症状を抑えている間に、生物学的な変化や適応的な考え方を得るという謂わば「自然治癒力」が出現します。体の傷が癒えるように、心の問題もご本人の自然治癒力が発揮される可能性があるのです。

うつ状態、うつ病について28

うつ状態やうつ病で学校や会社を休まれた方が復帰する場合、いくつかの注意点があります。気分的なうつの回復が十分でも、疲労し易かったり、朝起きが悪かったり、日中の眠気が強かったりします。休養中に驚くぐらい体力や集中力が落ちているものです。従って、いきなり元のペースで戻ろうとすると失敗のリスクが上がります。「もう大丈夫」と簡単に考えてはいけないと思います。心の中にブレーキを携えて下さい。

自然治癒力3

うつ病や神経症は、ストレス性障害を除外すれば、急に発症するわけではありません。自然治癒力や自己管理で発症を抑止しうる余地は大きいのです。しかし、日常生活の多忙さや気付きの遅れ等で発症に至る場合があります。不眠や体調不良、イライラ等が発症の前兆として典型的です。「ストレス解消」が上手くいけば発症に至らない場合がありますが、なかなかいい方法が見つからないのが現実です。

自然治癒力2

自然治癒力で対処できないなら、次は自己管理です。例えば、不眠に関しては、精神的な活動(PC等)は早めに済ませて、周囲を静かに暗くして、決まった時刻に入床する等です。こたつで寝ようとしたり、テレビやラジオを聴きながらとかの方法は間違っています。もっと大きな間違いは、寝酒の習慣です。

自然治癒力1

自然治癒力を厳密に定義することは困難です。ここでは「放っておいたら治ること」と考えます。「放っておく」とは、他者の介入や薬物使用もなく、本人の自覚や工夫もない状態だと考えます。このような状態でも回復が期待できるメンタルな病態はたくさん存在すると考えられます。例えば、「疲れているので自然と良く眠ることが出来るようになった。おかげで、疲労感が取れた」等です。この範囲であれば、当然治療は不要です。

抗不安薬、睡眠薬について2

依存性の点ではこれらはアルコールより安全です。しかし量の問題があり、服用量がどんどん増えたり、作用時間の短いものや抗不安作用のシャープな薬物を渇望するようになるとこれは立派な「依存」です。これら薬物に詳しい医師が常識的な常用量を超えて処方することは通常ではありえません。

抗不安薬、睡眠薬について1

これらは通常、ベンゾジアゼピン系薬剤に属します。抗不安、沈静・催眠、抗けいれん、筋弛緩などの作用が主たるものです。催眠作用が強ければ睡眠薬に、抗不安作用が強ければ抗不安薬に分類されます。安全性が高く、値段も安いという利点があります。GABA系という神経の沈静・抑制系に作用します。アルコールもGABA系に作用します。ベンゾジアゼピン系薬剤の依存性については存在を否定しませんが、アルコール依存と比較すれば、依存に対する安全性も直観的にご理解頂けるかと存じます。

うつ状態、うつ病について27

「うつ病は治るのか?」という議論があります。「治る」という概念を「服薬をまったくせずとも普通に生活できること」と考えると、半分以上の方は「治り」ます。ただし再発はあり得るし、気分変調性障害のように年余にわたる場合があります。再発の回数が多いほど、エピソードが長いほど難治性が高くなりますが、完全に治癒しなくとも付き合っていけるものです。