和歌山県和歌山市美園町のメンタルクリニックおおや

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おおや通信
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過重労働によるうつ病

うつ病の原因が労務によると判断されるケースが増えています。労基局や民事裁判で認定をめぐって争われることもあります。過重労働か否かは残業時間数を基準にすることが多いようですが、他に客観的な基準を設けにくいこともあるようです。

うつ状態での睡眠障害

(以下は再記です。)

睡眠障害は不眠、中途覚醒、早期覚醒、過眠、浅い睡眠、日中の眠気等が指摘されますが、要は一日の睡眠・覚醒リズムの障害(夜間と日中の覚醒水準の差が小さい)と睡眠中断のし易さに集約されると考えられます。このうち治療としては後者がターゲットであり、無理にでも眠前に睡眠薬や鎮静作用の強い抗うつ薬を服用して頂き、睡眠の中断を回避しようとします。朝に眠気を感じられる方が多いのですが、眠前薬の持ち越しというよりはうつ状態による覚醒の立ち上がりの悪さが原因であると考えられます。作用時間や半減期から考えて、薬の影響とは考えにくい場合が多いのです。

うつ状態、うつ病について33

「気分変調性障害」という診断名があります。「だらだらとうつ状態が長く続く」病態です。何故長期間持続するかははっきりしていないようですが、療養の不味さや性格傾向等の要因が指摘されます。ただし、療養の不味さや性格傾向を明確に判別する基準というものは曖昧です。経験的には、「気分の改善があっても、身体的なリズムが悪い」との傾向があるようです。

うつ状態、うつ病について32

うつ状態では自律神経症状が出現します。便秘や口渇、動悸、めまい、頭痛、胃部不快等がよく出現します。実際、感情の中枢(大脳辺縁系)と自律神経の中枢(視床下部)は解剖学的に接近しています。気分の変調は感じないのに体調が悪い場合で身体医学的検査で何も異常がないときは、「うつ」とまでいかなくともうつ的になっている場合があるのです。

うつ状態、うつ病について31

「うつ」自体は気分を表す言葉ですが、うつ状態では睡眠障害や自律神経症状等も伴います。睡眠障害は不眠、中途覚醒、早期覚醒、過眠、浅い睡眠、日中の眠気等が指摘されますが、要は一日の睡眠・覚醒リズムの障害(夜間と日中の覚醒水準の差が小さい)と睡眠中断のし易さに集約されると考えられます。このうち治療としては後者がターゲットであり、無理にでも眠前に睡眠薬や鎮静作用の強い抗うつ薬を服用して頂き、睡眠の中断を回避しようとします。朝に眠気を感じられる方が多いのですが、眠前薬の持ち越しというよりはうつ状態による覚醒の立ち上がりの悪さが原因であると考えられます。作用時間や半減期から考えて、薬の影響とは考えにくい場合が多いのです。

抗不安薬、睡眠薬について4

薬物の血中濃度と薬理作用の目安が半減期です。単回の服用後血中濃度がピークを迎えるまでの時間がTmaxと定義され、そのときの濃度がCmax、Tmaxから1/2Cmaxになるまでの時間が半減期です。定期的な服用では、半減期を迎える前に次の薬剤を服用する場合が多く、定期的な服用で血中濃度がかなり安定してきます。抗不安薬では血中濃度の安定した状態を得ることで、長期にわたり不安のレベルを下げることが期待されます。

うつ状態、うつ病について30

うつ病の治療を開始し病状が回復したとします。あとどれくらいの期間抗うつ薬を飲み続ける必要があるかは大きな問題です。その期間は病状や環境、初発か再発か等の条件で大きく異なるところです。例えば、再発や躁鬱病の方は予防的な服薬はかなり長期になると考えられます。反応性のうつ病では重荷が取れたり環境が良くなれば中止し易いでしょう。現実には、良くなったから患者さんの判断で中止するとか良くならないので治療者を変える等で、来院しなくなる場合が多いのです。抗うつ薬中止後のデータは余り無いのが現状でしょう。

うつ状態、うつ病について29

先日NHK教育テレビでうつ病についての番組がありました。そううつ病に罹患歴のある男性俳優が出演していました。彼のうつ状態に関する話は大変参考になる内容で、そこまで上手く言語化できるのかと感心しました。さすが俳優です。うつ状態下では思考が制止気味で、自分の辛さをなかなか言語化できません。改善したからこそ言語化ができるのです。制止とはブレーキが掛かって前に進まない状態です。くよくよと同じことを考えてしまいます。

抗不安薬、睡眠薬について3

抗不安薬、睡眠薬ともにベンゾジアゼピン系薬剤だけでもそれぞれ10種類以上あり、ひとつひとつに特徴があります。効果や作用時間の長さに違いがあります。服用すると何時間後に効いてきて何時間後かには完全に薬物の作用が消失すると考える方が多いのですが(それはそれで間違いとは言いませんが)、薬物が体内から完全に抜けるにはかなりの日数を要します。半減期という概念があります。服用後薬物の血中濃度のピークの半分になるまでの時間です。これが5(10)時間とすると、ピークの1/4までが10(20)時間、1/8までが20(40)時間となります。主観的に薬が切れてきたと感じても、体内にはまだ薬物は残存しています。これは悪いことではありません。定期的に服用すれば血中濃度の安定が得られるからです。

自然治癒力5

例えば、抗うつ薬の作用としては以下のように考えられています。「抗うつ薬の継続的な服薬で脳内のセロトニン、ノルアドレナリン系の脱感作やダウンレギュレーションが生じる」と。脱感作やダウンレギュレーション自体は生体側の反応であり、服薬という外部からの働きかけはあるものの、その方の治癒力が発揮されたとも解釈できます。「自然」とは言い難いのですが、「生体には治癒力がある」と言ってもいいと思います。